1. ウィキメディア財団で研究インターンをする:その0 はじめに

    ここから何回かに分けて、ウィキペディアを運営するウィキメディア財団で3ヶ月インターン1した話を書いていきます。インターンの内容についてはすでに書いているということもあって、ここでは主に応募、選考、開始準備まわりで何をやったかを書こうと思います。

    ウィキメディア財団 (Wikimedia Foundation; 略称WMF) はウィキペディアを運営している組織です。技術開発、運用、法務などすべて合わせて100名未満の非営利組織です。2011年のこれを書いている時点で唯一のオフィスはアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコにあります2

    ウィキメディア財団の仕事は、サーバー群の管理、法務、募金活動など、ウィキペディアとその他のウィキメディアプロジェクトの裏方です。ときどき混同されますが、サイト上のコンテンツの更新や管理はWMF職員ではなく、すべてボランティアがやっています。ウィキペディアには「管理者」という仕事がありますが、ウィキメディア財団とは直接関係のない、サイト上でユーザーから信任を受けたユーザーの方々がこなしています3

    ウィキメディア財団では、2010年に策定された戦略プランに基づいて、編集者の定着率を高めるための調査や機能開発のプロジェクトがいくつも立ち上がっています。その一部として立ち上げられたのが、2011年夏の研究インターンシップでした。

    インターンの仕事の中身はすべてウィキメディアのメタウィキ上のページ、 [[meta:Research:Wikimedia Summer of Research 2011]] にまとめられています。細かい説明は別の機会に譲りたいと思いますが、全体として課せられていたタスクは、英語版ウィキペディアに蓄積された編集履歴を解析し、編集者の定着率が伸びなくなった原因を探ることでした。実際にやっていた作業は、自分の場合は、編集者間で交わされる発言への感情表現タグづけダンプXMLを分散処理するツールの作成などです。

    自分にとってははじめての外国でのインターンシップでしたが、身の回りをみても、国外の大企業のインターンシップや国内の研究開発インターンシップに参加する人はそれほど珍しくありません。幸運なことにそうした方々の詳細で有益な報告がたくさんブログなどで公開されています。日本国外の情報系インターンや開発研究関係のインターンでは、短期間ながら開発者または研究者と同じ職務を担うという形態が多いようです。このウィキメディア財団のインターンシップも同様でした。類似するインターンシップも多いなかでこの報告が少し特別だとすれば、次の点が挙げられます。

    • 巨大グローバル企業ではなく、小規模(職員は100名を超えない)な組織であること
    • ベンチャー企業とは違い、すでに長く運営されていて多数の長期ユーザーを抱えていること
    • 非営利の、多国籍な組織であること
    • 研究開発ではなく、研究分析の仕事であること
    • 応募書類作成や家探しなど細かいことが書いてある(書く予定である)こと

    以上を導入として、次のポストで、応募するまでを書きます。


    1. 肩書きとしては Summer Research Fellow (夏期研究フェロー)という名前がついていましたが、実際にやっていたことはいわゆるインターンです。 

    2. なお、WMF2番目のオフィスが2011年末をめどにインドで設立されるそうです。 

    3. ただし、そうやって信任を受けて管理者になった人が、のちにWMFで何らかの仕事をし始めた、というケースは少数あります。それでもボランティアとしての管理者の仕事と、職員としてのWMFでの仕事は切り離されています。